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#6【アングリー精神】

  • オクマサハル
  • 2月24日
  • 読了時間: 3分

 瞬間的にキレる人に軽蔑と憧れがある。気に食わないことがあった時に、その場で怒りを表現できる人。怒鳴ったり顔をしかめることに躊躇がない人。暴力や威嚇行為は周りの人に迷惑なので良いわけがないのだけど、サッパリと怒りを表現できたら少しは暮らしやすいだろうと思う。落語を聞いていて「てやんでい!」と怒る江戸っ子が登場すると、いいなぁと思う。有名な『吾輩は猫である』の中でも、猫が住んでる家の先生は「馬鹿野郎!」と口に出して怒る。おぉ、なんか良いなぁと思う。


 僕は怒りそうになった時、一旦考えてしまうことが多い。頭の中で「その怒りは正しいのか」「キレてそれが解決するのか」とか考えながら「いや〜でもすげぇ嫌な気持ちだな〜」「なんなんだこいつは」「キレようかな」などと考えてるうちに、キレるにはなんかタイミングが悪い感じになって、結局モヤモヤだけが胸に残り、不完全燃焼となる。それだったらパッとキレといて、子供の喧嘩のフィナーレでよくある「ごめんね」&「いいよ」の大人版みたいなのを済ませておいた方が、さっぱり終わってモヤモヤもなく、むしろ健康的なのではないかと思う時もある。


 ある日「アンガーマネジメント」という単語を知った。すぐキレたり、怒りの感情をコントロールできない人は社会的に損をするので、なるべく頑張りましょう、みたいなやつだ。その中に「怒りの6秒ルール」というものがある。「キレそうになっても6秒間我慢すれば瞬間的な怒りは落ち着くので、怒った時は心の中で6秒数えましょう」みたいなことらしい。へぇ。


 僕はすぐにキレないだけで、別に怒りの感情を抑えられているわけではないので、なんとなく実践してみようと思った。「アンガーマネジメント」があらゆるアンガーに効果的なら、僕のモヤモヤにも効くかもしれないと思ったのだ。


 具体的にどんなことがあったか忘れたけど、ある日僕は怒った。電車に乗っていて誰かと体が当たったとか他人の荷物が邪魔だったとかそんな程度のことだった。「あ、怒りタイムきた」と思って6秒数えようと思ったが、その時ふと思った。「これっていつから6秒なの?」


 怒りが始まった瞬間ってわからない。僕の怒りはジワジワとグラデーションでやってくる。例えば「体がバンっと当たった時」と「あ、怒りタイムきたと思った時」では結構違う。10秒くらいの開きがある。別に気付いた時にスタートすればいつでも良いじゃんとも思ったが、それにしては6秒という数字は半端だ。5秒でも10秒でもなく、6秒。こんなに半端な設定にしてるということは絶対に「ここからスタートですよ!」というポイントがあるはずで、それはいつなんだ?


 「あ、怒りタイムきたと思った時」から6秒数えたのに本当のスタートが「体がバンっと当たった時」だったら、数え始めた時点で実は怒りから6秒以上経過していて、それは怒りを鎮めるとか関係なくただ6秒数えた人になってしまう。でも「体がバンっと当たった時」 から6秒数えるというのは、まだ怒りを自覚してないのに6秒数え始めるということなので、それはただ6秒数える癖がある人だ。そして6秒数え終わった後に怒りを自覚し、だんだん怒り始めることになるだろう。


 そんなことを考えていたら、電車を乗り過ごしてしまった。駅のホームで逆方向の電車を待ちながら、パッと怒るための「逆アンガーマネジメント」があるならぜひ教えて欲しいと思った。6秒数えても次の電車は来ないのだから。

 

 もし読んでいて何か思うことがあったり、書いて欲しいテーマがあるという方は、このHPの問い合わせフォームからお気軽に送ってみてください。書けたら書きます。

(次回は3/10に更新予定です。)

 
 
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